11年振りの新譜 大西順子『楽興の時』

　日本で観ることのできる46年振りの皆既日食があった2009年7月22日、ジャズピアニスト・大西順子の11年振りのアルバム『楽興の時〜Musical Moments〜』が発売された。
　CDを買うのはいつぶりだろう。このところ、音楽はダウンロードするか借りてくるものになっていた。iTunesにどうせ取り込むんだから、あんまりCDを所有することに意味がなくなっているしね、昨今。
　でも、この大西順子のアルバムはあえて買ってみた。電源をすっかり落としたままになっていたコンポのコンセントをさして、タイムドメインのスピーカーの音量を上げて何度も聴いてみた。やっぱ、AAC化されていない＜音＞はいいかも。
　10年前、突然姿をみせなくなった大西が、2年ほど前からちらほらライブ活動を再開したニュースは、ファンとしては嬉しかった。そしてこのアルバムで完全復活と考えていいだろう。彼女のクリスプなキータッチは相変わらず小気味いいし、往年のドライブ感も健在といった感じ。
　スタンダードとオリジナルを取り混ぜた9曲＋ボーナストラック1曲はアルバムとしてのトータルバランスもよいと思う。

　人生が24時間だとしたら、年齢を3で割った数字が現在の時間だとどこかで聴いたことがある。大西順子は42歳、人生の14時あたりだろうか。CDの内面に2時10分前を指す壁掛け時計は、もしかしたら再出発を果たした彼女のちょっとしたメッセージなのかもしれない。
　9月のブルーノート東京でのライブも楽しみだ。

＜追記＞
撮影場所は吉祥寺・サムタイムとのこと。ああ、この時計あったね。

『楽興の時』アルバムサイト

楽興の時

＜追記２＞
※大西順子公式サイト
※ユニバーサルジャズ・アーティストサイト