2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「謎の1セント硬貨」真実は細部に宿るinUSA を読んだ

どこかの書評でおすすめだったので、図書館で予約して読む。順番が巡ってくるまで3ヶ月くらいかったかな。 で、とても面白かった。よく知らなかったのだが、今年の「講談社エッセイ賞」受賞作らしい。不勉強で、著者の向井万起男氏のことも、日本人初の女性…

タイムシフトの先のマスコミの吐息

酔っぱらって帰宅後、桑田佳祐の「音楽寅さん」の録画を観ながらちょっと考えた。放送のリアルタイムって何だろう? マスコミュニケーションのこれからの在り方ってどんなだろう?、現在、実際。 いちおー、ギョーカイの末席を汚す身としては、こんなに早く…

佐野元春のザ・ソングライターズvol.4(さだまさしPart2)

録画したものを観る。 聴講している学生と詞曲を作っていくワークショップが興味深かった。さだまさしの詞へのこだわりは、体温・匂い。言葉が持つそれらを信じて、または留意して、できるだけ安易には言葉を重ねないように心掛けているそうだ。「グレープフ…

11年振りの新譜 大西順子『楽興の時』

日本で観ることのできる46年振りの皆既日食があった2009年7月22日、ジャズピアニスト・大西順子の11年振りのアルバム『楽興の時〜Musical Moments〜』が発売された。 CDを買うのはいつぶりだろう。このところ、音楽はダウンロードするか借りてくるものになっ…

映画『HACHI 約束の犬』感想

リチャード・ギア主演の『HACHI 約束の犬』を試写で観た。 日本人なら誰でも知っている忠犬ハチ公の物語、1987年製作の新藤兼人監督原作・脚本の『ハチ公物語』のハリウッド・リメイク作品ということらしい。 人間ドラマの名作、『ギルバート・グレイプ』『…

リアル1984年〜夏・映画編

1984年夏、僕が観た映画を羅列してみる。ひとりで場末の映画館で銀幕に照らされた作品もあるし、女の子と行ったロードショーもある。映画の内容はさっぱり思い出せないものもあるのに、劇場のむっとする空気のおりや、映画館へ向かう時考えていた事とかを、…

リアル1984年〜前段

村上春樹の『1Q84』に感化された訳ではないが、1984年というものにずっと焦がれ続けている。1984年を過ごしているさなかから、僕は1984に憑かれていたように思う。この年月はきっと特別なものだと勝手に予感していた。 そんな僕の時代の感触は、ある意味…

映画『さそり』感想

日本最強のワイヤー・アクション女優・水野美紀の主演作『さそり』を試写で観た。 梶芽衣子主演のカルト名作『女囚701号 さそり』のリメイクだ。陵辱と復讐の物語を、水野美紀が華麗に可憐に美しく演じ切っている。梶芽衣子の恐いほどの冷たく美しい<松島ナ…

佐野元春のザ・ソングライターズvol.3(さだまさしpart1)

録画したのものを観る。 佐野元春とさだまさし、このふたりが対談してる様をTVで観ることができるとは、80年代キッズには想像だにしなかった。時代の中をサバイブしていくということは、時が経ればお互いを認め合うということなのかもしれない。このツーショ…

『僕の彼女はサイボーグ』感想

WOWOWで録画してあったものを観る。去年の公開時にチケットをもらったので劇場でも観ていたが、ぼーっと観ていた(し、一部寝た)ので、も一回みるべと何となく録画してあった。 酔っぱらいながらも通しで観てみると、この映画、時間旅行ものとしては、タイ…

通常土曜日的考察其乃壱

有給を使い切った休職からフツーのサラリーマンに戻って約半年。年次休暇は来年度まで復活しないが、夏期休暇は取ることができるようだったので、昨日とりあえず1日夏休みをもらった。4連休。この半年、どんなに二日酔いだろうと早起きして、朝満員電車に…

1Q84読中メモ BOOK2(天吾)

第2章(天吾)魂のほかには何も持ち合わせていない 手塚治虫のある種のキャラクターは彼の作品を超越して登場する。ヒゲオヤジ、ロック、サルタ、ランプ、ヒョウタンツギ(?)…、いわゆるスター・システムだ。 村上春樹の作品世界でも直接つながりのない小説間…

1Q84読中メモ BOOK2(青豆)

BOOK2に突入。村上春樹の著作で分冊された長編のうち、『ダンス・ダンス・ダンス』『海辺のカフカ』はそれぞれ上・下で、章の番号も通しで書かれた。『ねじまき鳥クロニクル』は第1部・第2部で発表され、チャプターはそれぞれふられていた。そして時期を開け…

1Q84読中メモ BOOK1(天吾)

第2章(天吾)ちょっとした別のアイデア トラウマの発作として原初の記憶を持つ駆け出しのライター・天吾の章。 物静かで思慮深い彼は村上の往年の主人公を自然と思い出させる。編集者・小松との会話は「ノルウェイの森」のワタナベ君と永沢さんを思わせる…

1Q84読中メモ BOOK1(青豆)

第1章(青豆)見かけにだまされないように ちょっとしたことで世の中の位相は変わるかもしれないが、それに惑わされてはいけないと、カーステの充実した個人タクシーの運転手の青豆へのアドバイス。 プロフィールがぼやけたところから会話の中で徐々にキャ…

1Q84読中メモ通し

1ヶ月以上にわたって、読みながらしてきたメモを自分のためにまとめてみる。最初の頃なんて何書いたか完全に忘れちゃってるし、読了した今となっては、見当違いな部分も多いだろう。 小説自体は(青豆)と(天吾)を主人公とした章が交互に進められるが、今…

映画『ボルト』感想

試写会で『ボルト』を観てきた。 自分だけがそこがドラマの中の世界と知らず、「スーパードック」として大好きなベニーを悪漢から守ってきたイヌのボルト。しかし彼は、ひょんなことから現実の世界を知り、愕然とする。真実を知るのが怖い葛藤の中から逡巡す…

映画『サマーウォーズ』感想

『サマーウォーズ』の試写を観てきた。あのセンセーショナルだった『時をかける少女』の監督・細田守の最新作だ。 <主人公を取り巻く家族、親戚の全員が主人公とも言える、新しい「家族アクション映画」>という視点がまず新鮮だ。 物語は、世界中の人が<…

映画『八月のシンフォニー』感想

試写で『八月のシンフォニー』を観た。 ある種の映画の試写は純粋に<修行>だ。TVやDVDのように途中で消すことも止めることもできないし、退場することもままならない。コンテンツの持つ力というものは、ある水準を越えてしまうと、呆然としてしまい、…

鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 新章突入

第15話より、いよいよ本格的に新章に突入。アニメの前シリーズとは違った展開になののだろう。ホーエンハイムのカタチをした<父>や、ホムンクルスとしてのブラッドレイ、シン国の連中などが登場しているので、コミック版の流れを踏襲したものになるのかな…

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』感想

ようやく、やっと観に行く。『1Q84』を読了するまでは観てはいけないような気がして公開3週目になってしまった。この週末の新宿バルト9では上映作品の中でいちばんの動員との印象。日本において今のところ、21世紀最大ヒットのインディーズ映画になる…

佐野元春のザ・ソングライターズvol.2(小田和正part2)

土曜の夜テレビをザッピングしていると教育テレビに佐野元春と小田和正が映った。お?と観てみると、大学の教室のようなところで曲作りについて話している。佐野がホストのようだ。番組表をチェックすると先週から始まったプログラムで、7月11日は小田和正の…

映画『そんな彼なら捨てちゃえば?』感想

『そんな彼なら捨てちゃえば?』の試写を観てきた。 <超豪華キャストで贈る、男子禁制のガールズ・トーク・ムービー!>のキャッチコピーの通り、出演陣がすごい。ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、ジェニファー・コネリー…

1Q84読中メモ48

第24章(天吾)まだ温もりが残っているうちに いよいよBOOK2最後の章だ。 父を見舞うため、天吾はひとり千倉の施設へ向かう。そして、静かに昏睡状態にある父親のベッドの脇で天吾は独白する。父親と別れて暮らすようになってからのこと、小学生の頃、自分は…

1Q84読中メモ47

第23章(青豆)タイガーをあなたの車に 「青豆」の章ラスト、いよいよ大詰めだ。 用意ができている青豆は、『華麗なる賭け』のフェイ・ダナウェイのようにクールでセクシーなビジネス・スーツを身にまとい、タクシーに乗る。そして<1Q84>の出発点を確…

アリスはおもむろにスイッチを押した

酔っぱらってホルモン焼き屋から帰宅してテレビをつけると「アリス」が映し出された。僕が最初に好きになったフォークグループ、八十年代前半に解散して幾たびか限定的再結成しているバンドだ。今年はメンバー全員が還暦を迎えて、気持ちも新たに全国ツアー…

1Q84読中メモ46

第22章(天吾)月がふたつ空に浮かんでいるかぎり 天吾は部屋に戻ると、父のいる千倉の施設から電話があったことを知り、先方に折り返しかけてみる。そして父が原因不明の昏睡状態にあることを知る。60代だが、まるで生きる意志が薄くなったかのような、役目…

1Q84読中メモ45

第21章(青豆)どうすればいいのだろう ベランダのガーデンチェアでふたつの月を眺めながら、青豆は自分の部屋に残してきた哀れなゴムの木のことを思う。彼女が所有したただひとつの生命だ。決して丁寧に育てた訳ではないが、こうして追われる身になると妙に…

映画『BASURA バスーラ』感想

チケットをもらったので恵比寿まで観に行った。フィリピンのマニラの「ゴミ山」に暮らす人々を追い続けた四ノ宮監督の、「スカベンジャー」三部作のラストとなるドキュメンタリー映画だ。「バスーラ」とはタガログ語で「ゴミ」を表す 。 映画の公式サイトに…

1Q84読中メモ44

第20章(天吾)せいうちと狂った帽子屋 これまででいちばん短い章。スライドしてしまったこの世界の事実確認と、小説全体へのアクセントか。まあ、テレコでふたつの物語を重ねてきた訳だから、こういった「調整」も必要なのだろう。とにかく、残りページも少…