1Q84読中メモ45

第21章(青豆)どうすればいいのだろう
 ベランダのガーデンチェアでふたつの月を眺めながら、青豆は自分の部屋に残してきた哀れなゴムの木のことを思う。彼女が所有したただひとつの生命だ。決して丁寧に育てた訳ではないが、こうして追われる身になると妙に気になった。
<〜彼女は泣きたくなんかなかった。あのろくでもないゴムの木のことを考えながら、どうして私が涙を流さなくてはならないのだ。しかしこぼれ出る涙を抑えることができなかった。彼女は肩を震わせて泣いた。私にはもう何も残されていない。みすぼらしいゴムの木ひとつ残されていない。少しでも価値のあるものは次々に消えていった。何もかもが私のもとから去っていった。〜>
 青豆はベランダから外を眺めていて、自分と同じようにふたつの月を眺めている男性がいることに気づく。瞬間、その人が自分にとって大切な人だとわかる。
 青豆はこのあと、どうすればいいのだろう? と4回繰り返し逡巡する。青豆の中の女の子が決心を鈍らせる。