2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

1Q84読中メモ37

第13章(青豆)もしあなたの愛がなければ 2冊通して全48章の物語は、37番目の章をむかえていよいよ核心が語られることになる。1Q84世界の成り立ち、リトル・ピープルと呼ばれるものが意味すること、青豆・天吾・ふかえりの関係性とそれぞれに課された役…

情熱大陸 vol.557 若田光一(宇宙飛行士)

昨夜放送されたものを録画で観る。 若田光一、3度目の宇宙、3ヶ月以上の宇宙ステーション長期滞在、名実ともに日本人初のアストロノーツですね。 宇宙飛行士であるためには、閉鎖された極限状態への耐性が問われる訳だから心身共に強靱な健康が要求されるだ…

1Q84読中メモ36

第12章(天吾)指では数えられないもの 天吾が部屋に戻るとふかえりはシャワーを浴びた後だった。髪を上げた彼女はいつもと印象が違う。 <〜おかげで耳と首筋がすっかりむき出しになっていた。ついさっき作りあげられて、柔らかいブラシで粉を払われたばか…

人志松本のすべらない話 ザ・ゴールデン

録画した「すべらない話」を観る。演出やゲスト(というか観客)が過剰でインフレを完全に起こしているなあ、しかし。 ほっしゃん。がよかったという結果だが、個人的には小ネタながら、益子(U字工事)の「トンボがみずから頭をもげさせて飛んでっちゃう話…

岡本太郎の絵画

art

招待券をいただいたので川崎市岡本太郎美術館に「開館10周年記念展 岡本太郎の絵画」を観に行った。曇天だったが、向ヶ丘遊園駅からてくてく歩き、館のある生田緑地に着くと、緑も深くなりなかなか気持ちのいい午前10時だった。 僕の岡本太郎原体験。幼い頃…

1Q84読中メモ35

第11章(青豆)均衡そのものが善なのだ ターゲットの黒幕に対して、青豆は表の仕事の作業をプロフェッショナルに進めていく。そして老婦人から依頼された、裏の仕事に段階を進めるが青豆を何かが躊躇させる。すべて黒幕に把握されているような気がする。 探…

『スマイル』最終回

TBS金曜22時の連続ドラマ『スマイル』最終回の録画を遅ればせながら観た。今クールで僕が唯一観ていた日本の連ドラだ。豪華キャストだが10%ちょいの視聴率に、脚本家の交代などいろいろタイヘンだったようだが、11回の放送枠をダレることなくちゃんと使…

1Q84読中メモ34

第10章(天吾)申し出は拒絶された 父親のもとから自分のアパートに戻り、天吾は深い眠りにつく。 <〜翌朝、八時過ぎに目を覚ましたとき、自分が新しい人間になっていることに天吾は気づいた。目覚めは心地よく、腕や脚の筋肉はしなやかで、健全な刺激を待…

1Q84読中メモ33

第9章(青豆)恩寵の代償として届けられるもの 村上春樹小説世界においては、主人公はほとんど光のないホテルの部屋でキーパーソンと対面することになる。『ダンス・ダンス・ダンス』では、いるかホテルの時折つながる真っ暗な異空間で、羊男はじっと主人公…

映画『MW-ムウ-』感想

『MW-ムウ-』の試写を観てきた。手塚治虫生誕80周年記念、主演・玉木宏、山田孝之 、2009年7月4日公開の“問題作”だ。バッド・ムービー・アミーゴスがぶった切った『日本映画最終戦争』は、09年もまだ終わっていなかったのだ! 映画は冒頭、タイ・バンコクで…

1Q84読中メモ32

第8章(天吾)そろそろ猫たちがやってくる時刻だ ひとりポツネンとしてしまった天吾は目的なく外出する。そして何かに導かれるように父親のいる千倉を訪ねる。(千倉は安西水丸氏の故郷で、ハルキ・水丸がふたりで行った『村上朝日堂』のエッセイが懐かしい…

1Q84読中メモ31

第7章(青豆)あなたがこれから足を踏み入れようとしているのは<〜ホテル・オークラ本館のロビーは広々として天井が高く、ほの暗く、巨大で上品な洞窟を思わせた。ソファに腰をおろして何ごとかを語り合う人々の声は、臓腑を抜かれた生き物のため息のように…

1Q84読中メモ30

第6章(天吾)我々はとても長い腕を持っています 編集者・小松から送られてきた『空気さなぎ』の書評の束を読んで天吾は思う。 <〜『空気さなぎ』を読み終えて「ミステリアスな疑問符のプールの中に取り残されたままに」なっている善男善女に対し、天吾は同…

1Q84読中メモ29

第5章(青豆)一匹のネズミが菜食主義の猫に出会う ひとりぼっちに戻ってしまった青豆は気持ちと部屋の整理を進める。青豆は来るべき「仕事」のために準備を整える必要があった。さまざまなものをそぎ落としていく過程は自然に自己の内面に向き合う作業を伴…

1Q84読中メモ28

第4章(天吾)そんなことは望まない方がいいのかもしれない 天吾は、十歳の頃クラスのいじめから一度かばったことのある女の子のことをぼんやり考える。親の宗教に振り回されて教室で浮いていた子、誰もいない放課後黙って天吾の手をじっと握り何も言わずに…

1Q84読中メモ27

第3章(青豆)生まれ方は選べないが、死に方は選べる 梅雨の明けた澄み渡った夜空の月たちを見上げて青豆は思う。 親との縁を切り孤独に生きてきた自分。自ら命を絶った唯一の高校時代からの親友。出会いは行きずりの軽いものだったが自分を思ってくれている…

1Q84読中メモ26

第2章(天吾)魂のほかには何も持ち合わせていない 手塚治虫のある種のキャラクターは彼の作品を超越して登場する。ヒゲオヤジ、ロック、サルタ、ランプ、ヒョウタンツギ(?)…、いわゆるスター・システムだ。 村上春樹の作品世界でも直接つながりのない小説間…

1Q84読中メモ25

BOOK2<7月-9月>に突入。村上春樹の著作で分冊された長編のうち、『ダンス・ダンス・ダンス』『海辺のカフカ』はそれぞれ上・下で、章の番号も通しで書かれた。『ねじまき鳥クロニクル』は第1部・第2部で発表され、チャプターはそれぞれふられていた。そして時…

1Q84読中メモ24

第24章(天吾)ここではない世界であることの意味はどこにあるのだろう いよいよBOOK1最後の章。 冒頭にこの章の時点が7月半ばであると記される。ん? book1<4月-6月>と表紙にあるけど…。時制にこだわる村上春樹がこんなケアレスミスを犯すわけもなく、きっ…

1Q84読中メモ23

第23章(青豆)これは何かの始まりに過ぎない 奔放な性を享受しているある種の女性は、原体験として男性に対する恐怖感が植え付けられていることがある。その反動として不特定の男との性に身を埋め、自分の根をぼやかそうとする。 青豆のシングルバーでのパ…

1Q84読中メモ22

第22章(天吾)時間がいびつなかたちをとって進み得ること 天吾は脳について思索し、それが生み出す時間と空間と可能性の観念がヒトをヒトたらしめてると考える。その観念によって主観的に時間性を変更調整して、せっせと記憶の積み直しを人間はしている。 …

1Q84読中メモ21

第21章(青豆)どれほど遠いところに行こうと試みても 青豆はまた図書館を訪れ、新聞の縮刷版で山梨のカルト教団につて調べる。そこに語られる宗教団体の姿に誰もがオウム真理教を想起するだろう。村上春樹が世の中への彼なりの「コミットメント」をあらわし…

1Q84読中メモ20

第20章(天吾)気の毒なギリヤーク人 眠れない夜、天吾のアパートでふかえりと彼は物語の世界に身を沈める。 天吾の求めに応じて、ふかえりは『平家物語』の壇ノ浦での安徳天皇の入水自害の段を暗誦する。村上の著作で実在の物語が2ページにわたって引用さ…

1Q84読中メモ19

第19章(青豆)秘密を分かち合う女たち 青豆の生きる死と性・暴力に満ちた1Q84世界に、めじるしのない悪夢のようにカルト教団の影がしのび寄る。様々な「歪み」を内包する現実を見つめながら青豆と老婦人はカルト集団と向き合い、「むずかしい仕事」に臨…

1Q84読中メモ18

第18章(天吾)もうビッグ・ブラザーの出てくる幕はない ふかえり『空気さなぎ』がセンセーショナルなデビューを飾るが、彼女は特に意に介さない。先生は天吾に今回のプロジェクトの彼なりの目論見を語る。 <「〜深い池に石を放り込む。どぼん。大きな音があ…

1Q84読中メモ17

第17章(青豆)私たちが幸福になろうが不幸になろうが この章を読んでふと最初のページを見るとジャズ・スタンダードの「ペーパームーン」の歌詞が書いてある。「君が信じてくれたなら紙の月さえ本物になる」というロマチックな唄だ。『1Q84』は「月」も…

1Q84読中メモ16

第16章(天吾)気に入ってもらえてとても嬉しい 15章に続き、この章も物語のジャンクション的なチャプターとしてテンションがゆるめられる。小松の画策する「プロジェクト」は、先生をも巻き込み一層加速していく。天吾とふかえりは小松に言われて「打ち合わ…

1Q84読中メモ15

第15章(青豆)気球に碇をつけるみたいにしっかりと 青豆の日常とそれに至るいきさつが綴られる章。 青豆はシングルバーで出会った婦人警官・あゆみと食事に行き、親交を深める。 <「それで、何にするの?」 「ムール貝のスープに、三種類のネギのサラダ、…

1Q84読中メモ14

第14章(天吾)ほとんどの読者がこれまで目にしたことのないものごと 電車の女性週刊誌の中吊りに「新刊『1Q84』を読む前に村上春樹必修ネタ」という見出しがおどる。100万部を超え、この小説は「現象」となりつつあるようだ。まずいな、『ノルウェイの…

1Q84読中メモ13

第13章(青豆)生まれながらの被害者 ほぼ一日一章のペースで1Q84を読み、僕は都度都度このメモをしてきた。発売2週間を迎えて100万部を超えたこの小説のレビューは、さすがにネットや新聞のそこかしこで記されている(ようだ)。「Google急上昇ワード」…