1Q84読中メモ31

第7章(青豆)あなたがこれから足を踏み入れようとしているのは

<〜ホテル・オークラ本館のロビーは広々として天井が高く、ほの暗く、巨大で上品な洞窟を思わせた。ソファに腰をおろして何ごとかを語り合う人々の声は、臓腑を抜かれた生き物のため息のようにうつろに響いた。カーペットは厚く柔らかく、極北の島の太古の苔を思わせた。それは人々の足音を、蓄積された時間の中に吸収していった。〜>
 冒頭、村上春樹お得意の雰囲気メタファーを駆使した風景描写が続く。青豆はそんな荘厳なロビーで「ターゲット」の使者を待つ。二人の、いかにもの男が現れ、青豆を部屋へ誘う。幾分の緊張が最初はあったが、彼女はいつもの「仕事」の時のマインド・セッティングに戻す。
 そしていよいよ青豆は「領域」に足を進めることとなる。