2009-01-01から1年間の記事一覧

映画『釣りバカ日誌20 ファイナル』感想

いやいや莫迦にしたものではない。打合せがとんでいきなりヒマになったとき、試写状の日時を見るとドンピチャの時間で「釣りバカ」の試写をやっていたので観た。僕の「釣りバカ」歴は、ハマちゃんの奥さん役が石田えりだった時代にTVでちゃんと観た経験が1.2…

『アバター』3Dは映画ではない

『アバター』3Dは、もはや普通の映画映像ではなく、例えば万博パビリオンで好奇心旺盛な来場者が初めて眼にするような革新的映像だ。上映開始直後、<憑依人体・アバター>の視界を通じて、未知の星・パンドラの森にまるごと没入して僕はそう思った。 まった…

映画『よなよなペンギン』個人的感想

そもそも旧・虫プロが母体と言えるマッドハウスはりんたろうに恩義がある。りんたろうはマッドハウス制作の別の監督の予告編用のコンテを切ったり、クレジットされないが原画を描いたりしているという。だから、満を持してのりんたろう監督初のフルCG作品に…

映画『誰がため』感想

試写で観た。重厚な作品だ。埋れていたデンマークでのナチスに対するレジスタンスの実話を基に作られた作品らしい。本国ではヒットし、映画賞を総ナメにした。 第二次大戦中のデンマーク、ドイツの支配を「平和的」に受け入れたおかげで国はそれほど破壊され…

映画『THE 4TH KIND フォース・カインド』感想

11月の初めに完成披露試写で観たのだが、配布されたリリースには、映画の内容に関して、一方的な先入観を与えるような紹介や感想の流布は控えて欲しい旨のお願いがあった。この作品は、実際の記録映像に基づいて再現映像が制作され、多くのシーンで画面が分…

劇場用アニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』に戸惑う

僕は「宇宙戦艦ヤマト」のドンピシャの世代ではない。70年代ヤマトのTVアニメが視聴率的には不調に終わり、それでもあった根強いファンの声で、TV版を再編集した映画は興行として成功した。その後オリジナルストーリーの続編映画が作られ、しかも完結すると…

映画『銀色の雨』感想

僕は鈴井監督の4年ぶりの映画をとても期待して観たのだ。封切日に観た。鈴井貴之が企画・出演する、北海道のローカル番組「水曜どうでしょう」は、企画とタレントキャラだけで全国に番販され、現在もリピート放送が繰り返され、特番のDVDは確実に売れている…

映画『曲がれ!スプーン』感想

僕はTBSラジオで毎週土曜日21:30からやっている「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」を結構愛聴している。中でもサイコロの出目で次週の評論する映画を決める、無差別型映画評論コーナー「ザ・シネマハスラー」を楽しみにしていたりする。こ…

『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』だけどさ・・・

すいぶん前に試写で観たので、もう詳細な内容は曖昧だが(というか忘れたい)、とにかく<日本版フランダースの犬+小さな恋のメロディ>らしい。セディック・中沢&小山薫堂という『おくりびと』ブランドとジャニがタッグを組み、そうそうたる会社が製作委員…

映画『キャピタリズム/マネーは踊る』感想

10月の終わりに試写で観た。まず感じたことは、今までのムーアの作品の中でいちばん頭を使う映画だということだ。コラージュされた短いカットをマッシュアップした映像に、ムーアの早口のナレーションがのる。インタビューは切り刻まれて、徹底的に編集・再…

プロペラ犬 第三回公演『サボテニング』感想

先週11月28日に観に行って、ああ面白かったとつぶやいて満足していた。で、何度も反芻しているうちに、あれはそうか、こういうことだったんだ的に思えてきたので、結構自分用のメモとして書いてみる。今日明日で楽日なんで多少内容に触れても問題ないかと思…

映画『カールじいさんの空飛ぶ家』感想

今年試写で観た映画の中で、観ている最中に劇場でもう一度観ようと思わせた作品が3つある。クリント・イーストウッド監督『グラン・トリノ』と細田守監督『サマーウォーズ』、そして『カールじいさんの空飛ぶ家』だ。 ピクサーは前作『ウォーリー』でCGアニメ…

村上春樹の掌篇小説『蟹』を読む

先日、新たに編まれた村上春樹の短篇集『めくらやなぎと眠る女』が出版された。村上の外国のファンにために彼の選りすぐりの短篇で構成されたコレクションで、それを<逆輸入>の形で再構成したもので、『象の消滅』に続く第2短編集となる。 今回の本の中に…

映画『理想の彼氏』感想

ちょっと前に試写で『理想の彼氏』を観てきた。キャサリン・ゼタ=ジョーンズ演ずる40歳の主婦が、夫の長年にわたる浮気を知って離婚を決意する。2人の子どもを連れてニューヨークへ引っ越し、人生の再スタートを切った彼女は、アパートの下にあるカフェで働…

映画『戦場でワルツを』感想

ずいぶん前に試写で観た。8月の始めに渋谷のショウゲートの試写室に開映間際に滑り込んだ。話題作なので満席に近い状態だった。各国の映画賞を総ナメにして、2008年アカデミー賞外国語映画賞の本命と目されていたが、投票前後にイスラエル軍によるハマスへの…

燐光群の舞台『ハシムラ東郷』を観てきた

何年か前、映像コンテンツの企画で元祖日本人ハリウッドスター・早川雪洲を調べていた時期があった。その企画は実現することなく雲散霧消してしまったのだが、その時僕はGoogleアラートとして<早川雪洲>を登録していて、そのことも先週アラートメールが飛…

自主制作アニメ『フミコの告白』

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『サマーウォーズ』の細田守監督をはじめ、激賞されている『フミコの告白』だが、ちょっとじっくり観させてもらった。 アニメ製作に近い業界に身を置くものだが、そっか、IT革命wってツールとしてはここまで進んでいるんだというのがまず個人的感想。CG加工…

映画『マイマイ新子と千年の魔法』感想

試写で観た。原作は今年紫綬褒章を受章した芥川賞作家・高樹のぶ子の幼少期の自伝的小説。昭和30年代の山口県防府を舞台に、空想好きで多感な少女・新子の日常を描くアニメーションだ。物語の構造として『となりのトトロ』と似た作品といえるかもしれない。…

映画『つむじ風食堂の夜』感想

ひと月ほど前、試写で観た。 吉田篤弘原作の同名のロングセラー小説を映画化した、心温まるちょっとしたファンタジー。原作者の吉田は主人公を八嶋智人でアテ書きをしたらしいので、映画化にあたってはこれ以上ないキャスティングだろう。 個性的なキャラク…

映画『アンナと過ごした4日間』感想

とある映像の撮影でポーランドに行ったことがある。チェコとの国境のいわゆる「黒い森」がロケ場所だった。ポーランド第4の都市・ブロツワフから山に向かってイェレニャ・グラという小さな町を拠点としてロケ隊を組んだ。滞在中ずっと天気が良くなかったから…

洞口依子映画祭に行ってきた

渋谷唯一の名画座・シネマヴェーラ渋谷で2009年11月7日から20日まで洞口依子さんのデビュー25周年を祝う「洞口依子映画祭」が開催中だ。 僕は11月14日(土)に行ってきた。ラインナップは、洞口のデビュー作『ドレミファ娘の血は騒ぐ』と『CURE キュア』。そ…

映画『沈まぬ太陽』観たけどさ・・・

以前チケットをもらったままになってて、週明けその人(角○映画の関係者)と会う予定が入っていたので、金曜の夜ひとりで観てきましたよ『沈まぬ太陽』。仕事で近くに行っていたので平和島シネサンシャインで19:00から観たのだが、広いシアターに観客8人。…

映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』感想

実は10月31日、今から2週間ほど前に「アンヴィル!」を観ている。ちなみにその翌日「THIS IS IT」を観た。マイケル・ジャクソンの映画には複雑な感想を持ってしまったが、「アンヴィル!」関しては、ドキュメンタリー映画として一級品、しっかり感動もした。…

映画『千年の祈り』感想

『千年の祈り』を試写で観た。世界が注目する中国人女性作家のイーユン・リーの短編集の表題作を原作として、かつてポール・オースター脚本のブルックリンのタバコ屋を舞台にした映画『スモーク』で注目を集めた、ウェイン・ワン監督がメガホンを取った作品…

映画『母なる証明』感想

すごいものを観てしまった。やはり韓国の若き鬼才・ポン・ジュノ監督はハンパない。『殺人の追憶』は、人間の持つ暗部をさらす重い映画文法を鮮烈に示した。『グエムル-漢江の怪物-』は国際的に高く評価されたようだが、僕の感想としては、エンディングに向…

映画『パイレーツ・ロック』感想

1966年の英国を舞台に、取締りの網を抜けるため公海に船を浮かべて、24時間ロックを流し続ける海賊ラジオ局と、そんな<堕落した>放送を規制しようとする政府の攻防を描いた痛快ストーリー。英語タイトルの「The Boat That Rocked」がいろいろな意味を成し…

映画『電信柱エレミの恋』感想

ストップモーション・アニメーション『電信柱エレミの恋』を東京都写真美術館ホールで観た。 自分を修理してくれた電力会社の作業員タカハシに恋をしてしまう、電信柱・エレミの切ないラブストーリー。タカハシと話がしたくなったエレミは電話回線に侵入し(…

映画『僕らのワンダフルデイズ』感想

「僕らのワンダフルデイズ」試写を観た。 平凡なサラリーマン役の竹中直人が入院していた病院で、偶然自分がガンで余命半年であることを立ち聞きしてしまう。うつ気味な状態の中、息子の学園祭に行き、高校時代自分たちが組んでいたバンドを思い出す。そして…

映画『スペル』感想

サム・ライミ監督「スペル」を試写で観た。すっかりスパイダーマンシリーズの服装のキチンとした監督としてイメージが定着したライミだが彼の原点は間違いなくホラーだ。1981年の『死霊のはらわた』と同系統の、恐いけど思わず笑っちゃうホラー、あほらしい…

映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』はどう観ればいいのだろうか?

映画の日だった2009年11月1日(日)に『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を観に行った。公開4日間(10/28〜10/31)で50万人以上の動員を記録し、2週間限定公開の予定を急遽(?)4週間に変更した“映画”。僕の周りでもネットでも、感動と絶賛の嵐。そんな中、…