映画『つむじ風食堂の夜』感想

ZERO-tortoise2009-11-19

 ひと月ほど前、試写で観た。
 吉田篤弘原作の同名のロングセラー小説を映画化した、心温まるちょっとしたファンタジー。原作者の吉田は主人公を八嶋智人でアテ書きをしたらしいので、映画化にあたってはこれ以上ないキャスティングだろう。
 個性的なキャラクターが集い、ほっこりしたストーリーを織り成す、いわゆる“大人のファンタジー”なのだが、きっと小説はいい作品だろうと想像できる。ちょっと前にこういったお話はずいぶん流行ったし。でも、この手のストーリーを映画化すると、どうしても<核>を据えにくくなるというか、映画的な<何か>を表現して映画然とするのはなかなか難しいんだよなあ。
<ココ>はどこまでが<ココ>かということ、<ココ>ではないどこかへの志向は皆胸のうちの持っているが、それでも<ココ>にいる他はないのかもしれない、的なお話なのだが(何言ってるか自分でも解らなくなるw)、やはりこの手の物語は小説向きだと思う。もしくは演劇。
 下條アトムを久し振りに観たような気がするが、歳をとっていい俳優になったことを知ることができたのは収穫だった。下條が売っていた“二重空間移動装置”という名前の万歩計、僕もちょっと欲しくなった。
 試写室(というかソニーの会議室)には「王様のブランチ」の推薦人・筑摩書房の松田さんをお見かけした。

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2009年11月21日(土)より渋谷ユーロスペース他全国順次公開

監督: 篠原哲雄
原作: 吉田篤弘
脚本: 久保裕章
出演:八嶋智人月船さらら下條アトムスネオヘアー田中要次、芹澤興人、生瀬勝久

公式サイト