映画『THE 4TH KIND フォース・カインド』感想

ZERO-tortoise2009-12-18

 11月の初めに完成披露試写で観たのだが、配布されたリリースには、映画の内容に関して、一方的な先入観を与えるような紹介や感想の流布は控えて欲しい旨のお願いがあった。この作品は、実際の記録映像に基づいて再現映像が制作され、多くのシーンで画面が分割され、<再現>と<記録>は並映されるのが特徴だ。
 旧くは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、最近では『パラノーマル・アクティビティ』は、ホームビデオで撮影された<記録映像>風の低予算映画としてヒットし話題となった。いわゆる擬似ドキュメンタリー(モキュメンタリー)映画だ。ふんだんにお金をかけてCGを多用してモキュメンタリー体裁で製作されたのは『クローバーフィールド/HAKAISHA』だ。これらの映画に共通するのはバイラルマーケティングをいかに巧みに仕掛けるかの勝負である点であろう。
THE 4TH KIND フォース・カインド』は、アラスカで起きた<実際の事件>に関して、臨床心理科医の女性博士が記録した患者の<記録映像>と、オスサンミ監督がその博士へのインタビューの<記録映像>をベースとして、<再現映像>がその<実際の事件>を補完する映画だ。<再現映像>のクオリティや構成、挿入される<記録映像>のプレゼンテーションなど、日本のテレビの安い再現ドラマのバラエティの比ではなく、確かにみせるものはある。作品中、キーとなる夜中の3:33にちなんで、お蔵入りCMを毎夜3時33分に限定公開するなど、バイラルプロモーションも凝っている映画だ。
 完成披露試写会終了後、出口でこの映画の<記録映像>を信じるか信じないかの投票を行なっていた。僕はどちらにも紙を入れなかった。この映画の真偽を考えてもあまり意味がないと思ったからだ。論議は呼ぶだろうが、もっと別の視点で“楽しむ”映画だと思う。
________________________________
2009年12月18日(金)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

原題:The Fourth Kind
監督・脚本:オラントゥンデ・オスサンミ
出演:ミラ・ジョボビッチウィル・パットンイライアス・コティーズ

公式サイト