1Q84読中メモ21

第21章(青豆)どれほど遠いところに行こうと試みても

 青豆はまた図書館を訪れ、新聞の縮刷版で山梨のカルト教団につて調べる。そこに語られる宗教団体の姿に誰もがオウム真理教を想起するだろう。村上春樹が世の中への彼なりの「コミットメント」をあらわしたノンフィクション『アンダーグランド』と『約束された場所で』を再読してみようかなとちょっと思う。それぞれ発売されたとき読んで本棚に収まったままだし。
 青豆は部屋に戻りひとりふと自分の手を見ながら「存在」を思う。
<〜爪を見ていると、自分という存在がほんの束の間の、危ういものでしかないという思いが強くなった。爪のかたちひとつとっても、自分で決めたものではない。誰かが勝手に決めて、私はそれを黙って受領したに過ぎない。好むと好まざるとにかかわらず。いったいどれが私の爪のかたちをこんな風にしようと決めたのだろう。〜>