1Q84読中メモ27

第3章(青豆)生まれ方は選べないが、死に方は選べる

 梅雨の明けた澄み渡った夜空の月たちを見上げて青豆は思う。
 親との縁を切り孤独に生きてきた自分。自ら命を絶った唯一の高校時代からの親友。出会いは行きずりの軽いものだったが自分を思ってくれているあゆみ。「仕事」の準備の進捗を淡々と伝えるが分かち合える部分の多い老婦人。青豆の無理な依頼を反対しながらもプロフェッショナルに無駄なくレクチャーするゲイのボディガード。
<〜月を眺めているうちに、青豆は昨日感じたのと同じような気怠さを身体に感じ始めていた。もうこんな風に月を見つめるのはやめなくてはと彼女は思った。それは私に良い影響を及ぼさない。しかしどれだけこちらから見ないように努めても、月たちの視線を皮膚に感じないわけにはいかなかった。私が見なくてもあちらが見ているのだ。私がこれから何をしようとしているのか、彼らは知っている。〜>
 そして彼らはまた青豆の大事なものをひとつ奪った。