1Q84読中メモ29

第5章(青豆)一匹のネズミが菜食主義の猫に出会う
 ひとりぼっちに戻ってしまった青豆は気持ちと部屋の整理を進める。青豆は来るべき「仕事」のために準備を整える必要があった。さまざまなものをそぎ落としていく過程は自然に自己の内面に向き合う作業を伴っていく。そして自分という存在の中心にある、青豆を支える愛する男のことを今一度認識する。
<〜絵の一枚もかかっていないし、花瓶のひとつもない。金魚のかわりに買った、バーゲン品のゴムの木がベランダにひとつ置かれているだけだ。そんなところで自分が何年も、とくに不満や疑問を感じることもなく日々を送っていたなんて、うまく信じわれなかった。
「さよなら」と彼女は小さく口に出して言った。部屋にではなく、そこにいた自分自身に向けた別れの挨拶だった。〜>