映画『八月のシンフォニー』感想

 試写で『八月のシンフォニー』を観た。

 ある種の映画の試写は純粋に<修行>だ。TVやDVDのように途中で消すことも止めることもできないし、退場することもままならない。コンテンツの持つ力というものは、ある水準を越えてしまうと、呆然としてしまい、眠ることすらできなかったりする。だからしょうがなくスクリーンを見つめることになる。この物語を楽しむにはどうしたらいいか必死に模索する。ハマれるポイントを無理やり探し出そうとする。感情移入できるキャラをすがるような気持ちで見つけようとする。でも、そんな努力は徒労に終わる。
 どうにか2時間をサバイブして、見渡しの悪い怒りだけが僕の中に渦巻いているが、そもそもこの種の映画は観る方が悪いのだ。自分の会社で、自分でお金を出して、自分で監督して、自分で(たぶん)気持ちのいい映画を作ったのだろう。そんな映画にまっとうな感想を持つことがいけないのだ。いちいち文句をつけるべきではない、きっと。観る者の浅はかさを省みさせる、こうのような映画はやはり<修行>だ。


路上の天使”と呼ばれたシンガーソングライター・川嶋あい。彼女の自伝「最後の言葉」を原作に西澤昭男監督が脚本・監督を務めた、実話に基づく感動の長編アニメーション映画。

2009年8月22日(土)より、渋谷東急、新宿ミラノ他で公開
公式サイト
予告編