映画『そんな彼なら捨てちゃえば?』感想

『そんな彼なら捨てちゃえば?』の試写を観てきた。
<超豪華キャストで贈る、男子禁制のガールズ・トーク・ムービー!>のキャッチコピーの通り、出演陣がすごい。ベン・アフレックジェニファー・アニストンドリュー・バリモアジェニファー・コネリー、ケビン・コノリー、ブラッドリー・クーパー、 ジニファー・グッドウィン、スカーレット・ヨハンソンジャスティン・ロングクリス・クリストファーソン、合計してギャランティいくらなんだ? バリモアがプロデュースもしてるし、アフレックってハリウッドに友達多そうだから、みんな友情出演価格なのだろうか。そんな彼ら/彼女たちが恋人同士だったり、夫婦だったり、不倫していたり、片思いだったりの恋愛群像劇だ。
 原作はHBO版の『セックス・アンド・ザ・シティ』の脚本エディットやコンサルをしていたスタッフが書いた、男のホンネを察知できるサインを見逃さないための恋愛指南書。全米で女性にウケてベストセラーになったらしい。
 スクリーンでは、複雑に絡み合った恋愛模様が繰り広げられて、ちょっとヌケた女性たちは、パターンにタイプファイされない「例外」になるために奮闘していく。中でも僕が印象的だったのはジェニファー・コネリー。とにかく、こわい。迫力ある。『デスパレートな妻たち』のブリーのような主婦を演じているのだが、スリップ一枚になった時の脇にちょっとだけ余った脂肪がリアル、こわい。「アマポーラ」遠くになりにけり。スカーレット・ヨハンソンは相変わらずエロくてよい。男に振り回される役ばかりの女性キャストの中、唯一男性を手玉に取る役には年季が入っている。それにしてもレイチェル=アニストンって老けたなあ〜、シネスコープサイズでのアップがつらい。
 最近(かな?)の豪華キャストでの恋愛群像劇としては『ラブ・アクチュアリー』がいちばんに浮かぶのだが、『そんな彼なら〜』には『〜アクチュアリー』のような大団円に用意された、それぞれのエピソードがつながる<巧さ>は少なかったかもしれない。合間に挿入される恋愛の駆け引きを語るフェイク・インタビューは、ラブコメ映画の傑作『恋人たちの予感』へのオマージュかな。
 この作品はボルティモアが舞台になっているが、どこの街かはあまり感じさせない。作中シーンのほとんどは、誰かの部屋か、オフィスか、シングルバーで展開される。というか、ほとんど会話のやりとりで構成されているこの映画は、情景描写もないし、心象風景も描かないし、スペクタクルなカメラワークもいらないし、季節もまったく関係ない。ひたすら台詞の応酬を聞かせる、正真正銘の<ガールズ・トーク・ムービー>だ。まあ、プロローグでこのお話は全世界の女性共通のアフェアをテーマにした映画ですよ的な宣言をしているので、どこが舞台の映画だろうと本当に関係ないのだろう。だいいち、ガールズ・トークをおじさんが盗み聞きすべきではないのかもしれないですね、実際。


8/1(土)より丸の内ピカデリー他にて全国ロードショー
原題: He's Just Not That Into You
公式サイト