佐野元春のザ・ソングライターズ vol.12 Kj(Dragon Ash)Part2

 9/26放送の「ザ・ソングライターズ」を観た。今回もゲストは、Dragon Ash降谷建志ことKj。
  kjが実際に綴ったレポート用紙の詩を見ながら作詞について語る。その紙はレコード会社の担当者が保管していたそうで、降谷自身懐かしそうに眺めていた。彼は詞は順序立てて頭から書いていくそうだ。サビだけ浮かんでそれをもとにAメロ・Bメロといった作り方はしないという。そして詞は夜しか書けない。とことん、メローなヤツだな、こいつ、信用できそう。
『繋がりSUNSET』は20代を締めくくるために作った唄で、振り返って総括すると、Dragon ashの日々は<つながり>だったと感じた。はじめて2か月を費やして詞を重ねていったそうだ。仲間と分かち合い、感じ合うこと。Dragon ashはみんなで共有するリビングルームだと語るkjの言葉が印象的だった。
 聴講している学生からの質問になると教室は熱気を帯びてくる。リアルな学生達のkjへのリスペクトが、これまでの<大御所>アーティストたちの時とは明らかに違う。
 リリースした曲の中でいちばん好きな歌は?という質問には、配信のディストリビュートだが最新作『CALLIN'』だと答える。おっさんになったのかもしれないと自嘲しながらも、言葉をアートの一部せずに、真っ直ぐな言葉を置いて伝えることのできる音楽のシンプルな力に、今一度打ちのめされているという。喜怒哀楽を全部そこに置くことのできるロックを突き詰めて、そこから見ることのできる景色を眺めたいと語る。
 仲間(バンドメンバー)は大切だが、馴れ合いたくはない。ぬるくなる。いつ壊れるかは誰にも判らないから、その日その日のやりとりの積み重なりを真剣にどっぷり交わしたことが<つながり>になる。熱いぜ、kj。
 一方、言わずもがなで語らず、わびさびで片付けるような日本語はきらいだと断言する。たとえば「しょうがない」。この言葉を口にしたところからヒトは前に進まなくなる。まあ、確かに。
 元春さんが最後にkjについて語った。「彼は18の頃からぶれてない」

「ポップソングは時代の表現であり、時代を超えたポエトリー」を標榜して放送してきたこの興味深い番組も今回で最終回。是非ともシーズン2の編成を期待したい。

ザ・ソングライターズ公式サイト