お台場ガンダムと「サマーウォーズ」の休日

ZERO-tortoise2009-08-29

 その混雑から後込みしていたこの夏の案件がふたつあった。ガンダムと「サマーウォーズ」。双方とも週末に臨むにはそれ相当の覚悟がいる。で、有給休暇が取れた昨日金曜日、このくだんのふたつをこなすことにした。
 りんかい線東京テレポート駅から地上に上がる。臨海副都心(って最近きなかなくなったけど、死語?)に来ること自体、自分が久し振りなことに気づく。ビックサイトやら未来館に昔はお仕事で毎週のように通っていたこともあった。CXやデックスも何だか懐かしい。ヴィーナスフォートってまだあるんだあ。
 夏の陽射しの中、てくてく歩き、まず、シネマメディアージュゴゴイチの「サマーウォーズ」の座席を前売り券と交換する。さてガンダムだ。そういえば潮風公園ってどこ? お台場に着いて見晴らしのいいところに行けばガンダムが見えると勝手に想像していたが見あたらない。iPhoneのGマップで調べてホテル日航の向こうにあることを確認した。
 ゆりかめものお台場駅に差し掛かると「ガンダム」と書かれた手書きの矢印表示がある。金曜なのに結構な人並みがそれに従っている。僕もその中に入ってガンダムへ進んだ。
 公園に入り視界が広がると木立の向こうにRX-78の後ろ姿が見えた。ランドセルのバーニアでかいなあが第一印象。当たり前だが、パースを切られた平面ではなく、実物大の立像だとイメージの中の縮尺と異なる。何枚も写真を撮りつつ足下に立ち見上げる全長18mのガンダムは、やはり兵器としてリアリティのある大きさだなあと感慨をいだく。
 そして「サマーウォーズ」。7月初旬の試写以来観るのは2回目。その面白さは知っているから、逆に仔細にこだわらずに全体として存分に楽しんで鑑賞することに決めていた。
 少しスクリーン寄りに座席をとったのは正解。ワーナーの試写室は椅子も良くとても観やすいのだが、やはりシアターにはかなわない。
 細田守監督はシノプシスやコンテを切るのによくファミレスを利用するそうだが(そしてあえて食事はしない、空腹でいるとのこと)、食事のシーンが印象的でおいしそうに感じるアニメはまずもって正しいアニメだと思う。カリオストロのレストランでルパンと次元が奪い合ったミートボール・スパゲティを食べたいと思った人はいったい何人いるだろう。「サマーウォーズ」の大家族スペクタクルな食事シーンは、そのつながりと団結を饒舌に感じさせてくれる。栄ばあちゃんの言葉、家族が腹が減ってないか気にかけていた言葉は本当に涙を誘う。
 そして、人と人は手を握り合い、掌を重ねることで、通じ合い確認されることがあることを「サマーウォーズ」は教えてくれる。山下達郎の主題歌の中にも歌われ、エンドタイトルでも繰り返される、言葉のいらない手と手の会話。説教くさくなくそんなことを語ってしまえる細田監督、すごいっす。
 僕にとって2009年の夏は、その始まりと終わりに「サマーウォーズ」という映画を観ることができて本当にしあわせだったと記憶されるだろう。84年を「ナウシカ」と「うる星BD」の年を後から記憶されたように、09年夏は「ヱヴァ:破」と「サマーウォーズ」の年と覚えられるような気がする。
 新橋に出るため、帰路はゆりかもめ。お台場駅の脇に乃村工藝があることに驚く。田町から引っ越しするって前に言っていたなあ、そういや。そりゃ、メンツとして地理的にもガンダム造るよなあとひとりで納得した。ゆりかもめに乗車してこんなに車両小さかったっけ?と思うが、一昔前より混雑しているからだと思い至る。卒業後ひさしぶりに訪れた小学校の校庭が狭く感じるのとは、もちろん別の話だ。