映画『幸せはシャンソニア劇場から』感想

ZERO-tortoise2009-08-31

「幸せはシャンソニア劇場から」を試写で観る。日本語か英語以外の映画を観るのは久しぶり。「コーラス」の名コンビ、ジャック・ペラン製作、クリストフ・バラティエ監督の作品だからハズす筈もないわけで、フランスの名優・ジラール・ジュニョが主演、アメリカ映画とは違う独自のエスプリ香る一流のエンターテインメントに仕上がっている。この作品は時代の風化に晒されることのない映画だと思う。
 ストーリーラインとしては、まあ、ベタなのだが、みせる画作りが素晴らしい。フランス映画の画作りの底力を感じずにはおれない。レイアウト・カメラワーク・美術・照明が完成したひとつの画としてスクリーンいっぱいに映し出される。これが映画ってものだなあと観ていて嬉しくなってくる。
 出てくる役者もいちいち画になっているのがにくい。クレジットをみると撮影はクリント・イーストウッド作品で知られるトム・スターンだった。さすが。<画>って字ばかり書いてるな、しかし。
 作品のテイストとしては、昔のMGM黄金期のミュージカル映画に近いが、劇中の歌は気持ちの発露としての歌ではなく、舞台中舞台のオン・オフに自然な形で歌が絡んできて、映画は歌で溢れる。フランスでは130万人を動員したヒット作らしい。おすすめ。

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2009年9月5日(土)より
シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋、恵比寿ガーデンシネマ他にて全国ロードショー
「幸せはシャンソニア劇場から」

1936年パリ。音楽ホールのシャンソニア劇場が不況のため閉館し、長年裏方を務めてきたピゴワルは職を失う。失業者のままでは子育ての資格はないと、愛する息子と引き離されてしまったピゴワルは、再び息子と暮らしたい一心で、かつての仲間とともに劇場再建に乗り出す。

原題:Faubourg 36
監督・脚本:クリストフ・バラティエ
製作:ジャック・ペラン、ニコラ・モベルネ
撮影:トム・スターン
音楽:ラインハルト・ワグナー
製作国:2008年フランス・チェコ・ドイツ合作映画
配給:日活

「幸せはシャンソニア劇場から」公式サイト