映画『キラー・ヴァージンロード』感想

 岸谷五朗初監督作品「キラー・ヴァージンロード」を試写で観た。主演が上野樹里木村佳乃のコメディで、主題歌を福山雅治が歌う。アミューズ総力戦(木村は違うけど)の映画。他にも寺脇康文小倉久寛小出恵介小松彩夏とそうそうたるアミューズ俳優陣が出演している。サザンの毛ガニさんまで出てた。
 物語は、結婚式前日ドジなOL役の上野樹里が、ひょんなことからアパートの大家さんを殺してしまうことから始まる。上野の唯一の理解者であるおじいちゃんのために、何としても結婚式を無事に迎えたい上野は、死体をスーツケースに隠し、富士の樹海へと車を走らせる。そこで何度自殺を試みても死ねない女役の木村佳乃と出会う。木村は死体処理を手伝う代わりに上野に自分を殺してもらうという条件をだして、ふたりの奇妙なドタバタ逃避行が展開される。

 演出家としての岸谷五朗は基本的に舞台の人なのだろう。言うまでもなく、演劇と映画は、脚本や演出、演技のリアリティラインは大きく異なるものだ。観客と直接対峙して空気を共に作っていく演劇と、同じようなストーリー展開や台詞まわしを映画でやられてしまうと、スクリーンに向かう身としてはちょっと困るしかない。
 それにしても、最近の日本映画に絶対条件のように加味される「感動の展開」や「泣けるシーン」、大団円の伏線回収 って、何だか食傷気味なんですけど・・・。結局、根っからの悪人はいませんでした的に、無理矢理物語を収束させてなくてもいいのに。おとぎ話としての映画は、例えばもっと徹底的にコメディとして貫徹するのもアリだと思う。多少のグロいネタでやりっぱなしな部分があっても、勢いで持ってゆくような日本映画、最近少ないよなあ。判ってボンクラなシーンにアホみたいにお金かけた映画が観たいと思う。結果的に<哂わせてもらう>資金投下をしてる映画はあるけど・・・。製作委員会方式でファンドされて、ライツ配分だ、リクープラインだで内容そっちのけでやっているともう、そんな映画望むべくもないのかなあ。

 ラストシーンの上野樹里のスキップは映画のエンディングとしてとてもよかった。ちょっと抜けた感じのキャラをやるとどうしても「のだめ」に見えてしまうのは上野が背負った十字架だろうけど。
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『キラー・ヴァージンロード』
死体を連れて、どこまでも。

岸谷五朗初監督作品!
上野樹里×木村佳乃の2大女優で贈る
「結婚したい女」と「死にたい女」の
フルスロットル・ムービー!

2009年9月12日(土)より全国ロードショー

監督・脚本:岸谷五朗
主題歌:福山雅治
出演:上野樹里 木村佳乃 寺脇康文 眞木大輔 小出恵介 田中圭 中尾明慶 高島礼子 北村一輝 北村総一朗

「キラー・ヴァージンロード」公式サイト