映画『のんちゃんのり弁』感想

ZERO-tortoise2009-09-25

 1か月以上前に試写で観たのだが、ちょうどムービー・アイの倒産があり、この映画に関してもバタバタ感があり、無事明日公開ということでよかったなと影ながら思っている。いろいろあるが、木下工務店=キノ・フィスムズは日本映画をすくい上げている会社であることは確かだ。この映画のプロモーション展開も頑張っていたと思う。タイアップを取ってきて海苔でできた割引券でパブを獲得したのは、スタッフのこの映画に対する愛を感じた。
 緒方明監督はゼロ年代の日本映画らしい映画をちゃんと撮るディレクターだと思う。資金と配給規模をまず捉えて、キャストとシナリオをきっちりハンティングして丁寧に愛情をもって作品を仕上げる、現代の映画職人。こういったヒトの作品は信じることが出来る。
 で、製作された「のんちゃんのり弁」。これまでの殻を確実に打ち破った小西真奈美の力演がまず印象的だ。夫婦喧嘩の小西のネコパンチはかわいいw。岡田義徳ダメンズぶりも板に付いている。ウッチー、やるねえ。そして、主人公の羅針盤となる筈の居酒屋店主役の岸辺一徳の中途半端な説教がいい。一家言ある現実の町のオヤジも実際はこんなもんだ。それを脚本で再現する観察眼は素晴らしい。
 それにしても、フードスタイリスト・飯島奈美が作る料理は、どうしてこんなに映像映えするのだろう。この映画の小西に並ぶ主演は飯島の料理といって過言ではない。さらっと流れるcobaの音楽も心地よかった。スネオヘアーの主題歌もね。
 えー、この映画でいちばんリアリティがないのは、小西真奈美のスタイルだと思う。現実には下町にあんな顔の小さい子持ち独り身はまずいない。でも、そんな小西の現実感の薄さが一方でこの映画のペーソスなのかもしれない。
 観て損はしない映画だと思います。

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な〜にも考えずに生きてきた31歳子持ち女子
人生かけた再出発ーーきっかけはお弁当!?
2009年9月26日(土)有楽町スバル座他全国ロードショー
(黄金町ジャック&ベティでも!!)
のんちゃんのり弁
監督:緒方明
原作:入江喜和
脚本:鈴木卓爾緒方明
音楽:coba
配給:キノフィルムズ
出演:小西真奈美岡田義徳村上淳、佐々木りお、山口紗弥加岸部一徳倍賞美津子
「のんちゃんのり弁」公式サイト