『引き出しの中のラブレター』感想

試写を観たのが7月の終わりなので正直あまり詳細には覚えていない映画だが、メモを見ても、その時の自分のtweetを追っても良い印象を抱かなかった作品のようだ。
 一見関係のなさそうな多くの登場人物が、ラジオを通じて皆つながる話。袖振り合うも他生の縁ということだろうか。以上。

・・・・で、感想を終わりたくなるのは何故だろう?(まあ、終わればいいのだが。別に誰に依頼されているわけでもなくこのブログは書いているのだし)いったいこの映画の何が僕を苛立たせるのだろう。演出がヒドいのか、演技がヒドいのか、脚本がヒドいのか。説明優先のうわべだけの台詞、心情説明のナレーション、実はこうだったと都合よく説明する手紙の文面、この三つ巴で物語を進めようとする映画は果たして本当に映画と言えるのだろうか。直接的な表現で描かれた人物描写や人間関係は、観る者により以上の理解や共感を生み出すことが本当にできるのだろうか。登場人物を結果的に全員関連付ければ感動が生まれるのだろうか。
 綺麗に加工され切り取られただけの画はそこから何も語らないし、薄っぺらな演技からは人の情念は滲み出てこない。そんなものをを観て「泣けた」と言っている連中はただ記号に反応しているだけだと思う。中島知子岩尾望のシークエンスはコントの中のシリアスな演技にしか僕には見えなかった。常盤貴子云々は何も語るまい。唯一、映画としての佇まいと演技をしていたのは、仲代達矢林遣都だけだ。この作品は林という有望な俳優を観に行く映画かもしれない(同じ松竹の作品だが『風が強く吹いている』の林遣都は更にスゴイ)。
 FMのJ-WAVEのDJの常盤を核として「手紙」をフックに人々の想いが連なっていく物語なのだが、リスナーとのつながりを表現するならやはりAMラジオを舞台とすべきだろう。FM局ほど系列化していないので製作委員会への出資がAM局だと難しかったのだろうが、それならせめてFM東京でしょ。J-WAVEって、最近聴いていないがこういったベタベタした番組やってるのかな、実際。開局当初、日本語の歌は流さない方針で、CMのBGMに使われていた「川の流れのように」の放送を拒んだ局と同じラジオ局と思えないなあ、隔世の感あり。せめて「ホリデースペシャル」の祝日編成の特番という設定でこの映画の企画があったのかと思ったが、劇中、普通の日曜夜の2時間枠で放送してたしw。映画に季節設定させたくなかったのかな。リアルの10月12日(祝)にはJFL系列で番宣番組の放送はあるみたいだが。
 それにしても「hiki-koi」というドメイン名もどうよ。

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2009年10月10日全国ロードショー
「引き出しの中のラブレター」

亡くなった父から届いた手紙。
40年の想いを手紙に託した祖父。
たくさんの家族の想いを描いた、
この秋最高の感動作。

監督:三城真一
脚本:藤井清美、鈴木友海
出演:常盤貴子林遣都中島知子岩尾望竹財輝之助萩原聖人本上まなみ八千草薫仲代達矢

「引き出しの中のラブレター」公式サイト