映画『コララインとボタンの魔女3D』用意された20万通りの表情

ZERO-tortoise2010-02-17

 むかし、超短編だったがストップモーションアニメの製作に携わったことがある。だから、その大変さと面白さは体験済みで、たいていのストップモーションアニメは好きだ。愛と根気と時間を、もっとも必要とする映像表現がストップモーションアニメだと思う。
 だから、ヘンリー・セリックの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』が嫌いなわけがない。喜び勇んで新作『コララインとボタンの魔女3D』の完成披露試写会に行かせてもらいましたよ。
 試写では、残念ながらトレーラーだけ3Dで、本編は字幕2D版だったので、劇場にやはり行こうかなと思っているほど素晴らしい作品だ。

 アニメ界のアカデミー賞といわれる今年のアニー賞美術賞を、この作品のコンセプトアートを担当した、上杉忠弘が受賞したことは嬉しいニュースだ。リリースには彼が描いたコララインをはじめ、個性的なキャラクターのスケッチが載っていて興味深い。またキャラデザインだけでなく、彼女たちの棲むピンクパレス・アパートや世界観の設定も上杉の仕事だったようだ。
 そして上杉のデザインを基に、人形が制作される。コララインだけで28体、衣装9種類、用意された表情の数はなんと20万通り以上!! そして、ストップモーションアニメ史上初めて実現した変身シーンは、わずか6秒に50種類の顔のパーツが使われたという。
 作中僕の好きなシーンにネズミのサーカスがある。61匹のネズミを動かし表現するのに、このシーンだけで66日かかったそうだ。すごい。本当にストップモーションアニメって愛と根気だなあ。構想5年、撮影期間4年はだてじゃない。
_______________________
2010年2月19日(金)公開

原題:Coraline
監督・脚本・美術:ヘンリー・セリック
製作:ヘンリー・セリック、ビル・メカニック、クレア・ジェニングス、メアリー・サンデル
原作:ニール・ゲイマン
撮影:ピート・コザチク
編集:クリストファー・ムリー、ロナルド・サンダース
コンセプトアーティスト:上杉忠弘
音楽:ブリュノ・クーレ

公式サイト